理学療法は、主に日常生活上の移動面を中心に訓練を行なっています。訓練室のみならず、実生活の場である病棟においても日常生活動作と移動を一連のものとして位置づけ、積極的に働きかけることで生活全般の活性化を支援します。さらに退院後の生活を想定した家事・外出・趣味などにも幅広く対応し、社会活動範囲の拡大を図り、QOLの向上を目指していきます。
歩行訓練は身体の状況に合わせて、入院初日より開始いたします。早期に歩行訓練をする事で一人で歩けるようになるまでの時間が早くなります。早期に歩行訓練が可能となるよう、歩行補助具や下肢装具の適正も入院日に行います。屋外歩行は室内歩行が自立したあとに実施するのもではありませんので、病棟歩行と同じように早い段階で始めます。
畑活動を病前生活において趣味や生きがいとして行っていた患者様がいらっしゃいます。障害を負っても再び畑での作業が行えるように、動作方法や道具を工夫してリハビリに取り入れています。また、屋外で花木を育てる事でさわやかな気持ちにもなり、精神的なサポートを図れるため積極的に行っています。
免装置を使用する事により運動中の体重をサポートするシステムです。空気圧システムにより体重の一部を免荷・リフトされますので、体重によるストレスを軽減する事ができます。整形外科疾患、膝・足・股関節損傷後の歩行トレーニング、背腰部の疼痛除去の歩行トレーニング、脳卒中後の歩行トレーニング、高齢者の歩行トレーニングなどに使用します。
和室動作は多くの家屋にある畳上での動作を獲得できるよう実施いたします。和室で実施される活動は数多くあり、患者様それぞれの家を想定し、歩行や立ち上がり、布団の上げ下ろし、掃除や部屋の整理整頓など在宅生活ではごく普通の動作を、和室を使用して訓練を行います。立ちしゃがみとあわせて、正座やあぐら座位や足を伸ばして座る姿勢など、在宅でのくつろぎの座りを獲得していきます。
入浴動作は日常生活動作の中でも、もっとも困難な動作といえます。浴槽のまたぎ動作も立ったまま動作を訓練したり、座りながら訓練する場合もあります。また自宅での入浴が出来るようになるために、自宅環境を再現して動作訓練をする必要があります。
入浴動作訓練のほかに福祉用具の適正を評価し、患者様に最適な福祉用具の導入を行います。理学療法士・作業療法士が共同で入浴訓練をすすめていきます。
退院後の患者様の多くは、通院や買い物などの移動時に自家用車を使用します。普段は気付きませんが、実は自家用車への乗り降りは複雑で危険な動作であり、介助が困難となる事が少なくありません。
そこで当院では自家用車乗降訓練を行っています。ご本人だけでなくご家族にも、乗り降りの方法やつかまる場所の指導などを、実際の動作を通じてお伝えし、外出時や退院後の生活にスムーズに移行できるよう訓練を行なっています。